7月11日は「アルカリイオン水の日」。

アルカリイオン整水器協議会が制定した記念日で、「身体の内側から整える」という発想が背景にあります。水を選ぶように、空間や家具もまた、私たちの暮らしを静かに整えてくれる存在です。

たとえば、椅子。単なる道具でありながら、部屋の印象や空気感を大きく左右する。とくにイームズのシェルチェアのようなデザイン家具は、“座る”という機能だけでなく、そこにあるだけで空間のバランスを微調整してくれます。

今回はそんな**イームズ・シェルチェアに「似合う映画」**を選んでみました。国内外問わず、映画というもう一つの“空間”のなかに、あの椅子が違和感なく入り込む瞬間を想像しながら。整った構造と静かな余白、その交点にあるプロダクトの魅力を探っていきます。


イームズ・シェルチェアとは

まず軽く、プロダクトの説明をしておきましょう。

デザインの背景

1948年、チャールズ&レイ・イームズ夫妻によって開発されたシェルチェアは、当時としては革新的だった成形プラスチック製の座面一体型構造を特徴としています。流れるようなラインの美しさと、工業製品としての合理性を兼ね備え、今なおリプロダクトが絶えないロングセラー。

種類と構造

  • DSW:木脚のスタンダードモデル。温もりとモダンさのバランス。
  • DAW:肘掛け付きで包み込むような座り心地。
  • RAR:ロッキングタイプ。揺れる構造がインテリアのアクセントに。
  • DSR:ワイヤーベース脚で軽やかな印象。

この多様性と空間演出力が、映画の世界観とも呼応しやすい理由です。


映画と椅子をつなぐ視点とは

では、どういう基準で「似合う映画」を選ぶのか。今回は次のような観点からピックアップしています。

  • 構造と美学の共鳴:椅子のフォルムや背景と、映画の編集・演出スタイルが呼応している
  • 時代性/空気感の一致:1950〜70年代の空気や、それに近い美術が含まれる
  • 人物と空間の関係性:家具の存在感がストーリーや人物造形と繋がっている

それでは、具体的な作品を紹介していきます。


1. 『her/世界でひとつの彼女』(2013・アメリカ)

スパイク・ジョーンズ監督によるSF恋愛映画。近未来を舞台にしながら、どこかノスタルジックなインテリアが特徴です。木材・ファブリック・ミッドセンチュリーデザインが多用されており、シェルチェアが登場してもまったく違和感のない構成。

特に、主人公セオドアの部屋はイームズ夫妻の影響が随所に感じられ、「生活に溶け込むプロダクト」としての椅子のあり方を考えさせられます。静けさ、内省的な感情、自然素材とのバランス。その全てがシェルチェアの魅力と響き合っています。


2. 『アメリ』(2001・フランス)

ジャン=ピエール・ジュネ監督によるファンタジックなパリの物語。鮮やかな色彩設計と雑貨感覚のインテリア、遊び心に満ちた構図が特徴で、シェルチェアのような曲線美をもつプロダクトと非常に親和性が高い世界観です。

アメリの部屋に直接イームズの椅子があるわけではありませんが、「モノが語る空間」「個性を帯びた家具」といった価値観は、まさにシェルチェアに通じるもの。映画の中の部屋を模したくなる人が多いのも納得です。


3. 『ハイ・ライズ』(2015・イギリス)

J・G・バラードのディストピア小説を映画化した本作。舞台は1970年代の高層ビル。内部の美術はミッドセンチュリーモダンからブリュタリズムまで混在しており、イームズデザインが似合う文脈がいくつも出てきます。

荒廃と美学、理性と欲望。その間に揺れるような作品だからこそ、構造としての椅子=「支えるもの」の象徴が冴えます。シェルチェアは見た目以上に機能が明確で、だからこそ空間に緊張感を与えるのです。


4. 『かもめ食堂』(2006・日本)

ヘルシンキを舞台にした日本映画で、家具と映画の関係を語るうえで外せない一本。北欧家具が多用されるなか、イームズのような成形家具もちらりと登場します。物語に派手さはありませんが、**「暮らしの輪郭を整える椅子」**という視点では秀逸。

シェルチェアが実際に使われていなくても、そのテイストや思想がそこにある。整えすぎず、でも美しい。そんなニュートラルな価値観がシェルチェアのあり方と共鳴します。


5. 『500日のサマー』(2009・アメリカ)

アートディレクターの視点で都市と空間を捉えた本作では、インテリアや家具にも細かなこだわりが。特に登場人物たちの部屋やオフィス空間は、“自分らしさの編集”という点でシェルチェアと近しい。

シンプルな構成の中に、色、形、素材をどう配置するか。椅子ひとつで空間の印象が変わるように、恋愛模様もまた、小さなズレと配置で決まるというメタ構造的な視点が見えてきます。


6. 『パターソン』(2016・アメリカ)

ジム・ジャームッシュによる詩的な日常映画。淡々とした日々のなかに宿る美しさ、家具や空間の繰り返しが感情の地層をつくります。

ここに似合うのは、無色透明のシェルチェアではなく、ちょっと擦れたようなマットグレイのDSW。年月を経た木脚と少し曇った座面。静けさの中に確かな形があるプロダクトこそ、こうした映画にぴったりです。


映画を“飾る”椅子。家具を“演出する”物語

家具をプロダクトとして捉えるか、空間の登場人物として捉えるか。この違いは大きいと思います。イームズのシェルチェアは、ただの椅子ではなく、空間のテンションや物語の方向性を決める要素になることがあります。

特にリユース市場では、機能性だけでなく**「どんな世界観に溶け込むか」**という視点で家具を選ぶ人が増えています。そういう意味で、映画と家具の相性を考えることは、空間そのものをデザインする発想に近いのです。

もし自宅にひとつ椅子を足すなら、それは単なる“家具”ではなく、映像のワンシーンを支えるアイテムとして選んでみるのも一つの方法かもしれません。気になる映画があれば、その世界観に合う椅子を探してみてください。家具の見え方も、暮らしの感じ方も、少し変わるはずです。

※画像参照元:https://www.eamesoffice.com/

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