突然ですが、皆さんはいま日本に空き家がどれくらいあるか知っていますか?

最新の総務省統計によると、その数はなんと約900万戸。

全国の住宅の13%以上が空き家という衝撃的な数字です。

この現実に向き合い、小さな一歩から動き出そうという活動に、先日、講師として参加してきました。

講師というとなんだか大層な事に聞こえますが、実際はおかたづけについての細かいアドバイスをさせてもらうお仕事です。

場所は、瀬戸内海に浮かぶ岡山県笠岡市の白石島。

地域再生に取り組む「みんなの集落研究所」さんの主催による、空き家の片づけワークショップです。

こちらもチェック→【みんなの集落研究所 HP


白石島という舞台で「かたづけ」を通して地域と向き合う

今回のフィールドとなったのは、岡山県南西部・笠岡諸島に属する白石島。

面積わずか2.6平方キロ、人口300人ほどの小さな島には、かつての活気を感じさせる古民家が点在しています。

お話を伺うと、住民表上は300人ほどらしいですが、実際に住んでいるのは200人前後とのこと。

観光地としての開発は控えめで、どこか尾道にも似た“生活感ある路地”が残る場所です。

実は波の穏やかな浜辺があったりで、隠れスポット感にエモさを感じます。

そんな島で行われたのが、空き家の「おかたづけワークショップ」。

参加者は、スタッフ・島民・ボランティアなどを含めて約30名。

「空き家の片づけなんて誰が来るの?」と思われるかもしれませんが、遠くは東京から多様な関心を持つ人たちが集まっていました。

僕自身も実は白石島に行くのは今回が初めてでしたが、日本を濃く感じる素敵な空間でした。


汗をかき、埃を浴びながら見えてくること

ワークショップの当日は見事な快晴。日差しが強く、屋内外での作業にはかなりの体力を要します。

当日の流れは、大きく次の4ステップ。

  1. 空き家の中のモノを外に出す
  2. 外に出したモノを仕分ける
  3. 室内の清掃を行う
  4. 必要なモノだけを室内に戻す

口で言うのは簡単ですが、実際に空き家を開けてみると、家具・衣類・食器・家電・書類など、予想を超える量の“モノ”が詰まっています。
(ちなみに写真の時点でまだ半分未満です)

そしてその大半が、埃をかぶり、誰にも触れられないまま長年そこに存在し続けていたもの。

言ってしまえば「過去の暮らしの痕跡」です。

それをひとつひとつ確認し、仕分けし、丁寧に外へ出していく。

この作業は、単なる肉体労働ではありません。

むしろ暮らしのアーカイブと向き合うような。

ここにもなんともいえないエモさを感じます。


「分別整理」を意識することで、コストも労力も減らせる

空き家片づけで最も大事なことのひとつが、「分別整理」の視点を持つこと。

つまり、すべてを一括して“ごみ”として捉えるのではなく、「これは使えるか」「どこへ回せるか」と多段的に判断していくことが必要です。

以下は、実際の作業でも意識された分別整理のプロセスです:

ステップ内容補足
① 要・不要の仕分け感情的判断を避け、複数人でチェック家族や関係者がいれば意見を聞く
② 使える・使えないの判定動作確認・破損確認家電などは特に注意
③ 活用ルートの検討フリマアプリ/買取/寄付など地域によって選択肢は異なる
④ 処分対象の分類不燃/可燃/大型など各自治体ルールに準拠すること

例えば「まだ動く炊飯器」や「レトロなデザインの椅子」は、買取業者や中古ショップ、あるいは地域の福祉団体などが引き取ってくれることがあります。

逆に、「壊れた家電」や「劣化した布団」などは、自治体の粗大ごみ処理ルートに乗せる必要があります。


“処分”ではなく“片づけ”という意識

日本の空き家問題においては、「家自体が悪い」のではなく、「中身をどう扱うか」の方が障壁となることが多いのです。

「どう捨てるか」ではなく、「どう活かすか」へ。

再資源化や現金化といった発想を持てば、片づけのコストそのものも抑えることができます。

もちろん、どんなに頑張っても再利用できないモノは存在します。

そうした“最終処分”は決して悪ではありません。

むしろ、そこに至るまでにどれだけ分別・再活用できたかが問われるわけです。


白石島の“暮らしの風景”に触れて

作業後、島を少し散策する時間がありました。

細く入り組んだ道、古い町並み、ところどころに佇む猫たち──どこを切り取っても情緒的で、生活の手ざわりが残る空間です。

特に印象的だったのが、地元に伝わる「白石踊り」のお話。

数百年の歴史を持ち、国の重要無形民俗文化財にも指定されているこの踊りは、毎年8月14日~16日にかけて島内で奉納されます。

太鼓と笛の音に合わせて、老若男女が輪になって踊るこの行事には、県外からの観光客も少なくないとのこと。

こうした“土地の文化”が、空き家の中に眠っていた生活道具や写真、書簡などと静かにリンクしている感覚がありました。

家を片づけることは、単なるモノの処理ではなく、地域に積もった時間の手入れでもあるのかもしれません。


「空き家問題」は自分のすぐそばにある課題

今回のようなワークショップに参加してみると、「空き家問題」という言葉の印象が変わります。

それは行政や不動産の話だけではなく、身近な“暮らしの延長線”にあるリアルな課題だということ。

そして何より、「全部を救う」のではなく、「一軒に関わることから始める」ことの大切さを実感します。

自分にできる範囲で、自分なりの関わり方を見つけていく。

その選択肢のひとつが、“空き家のかたづけ”という行為なのだと。

高齢化が進み、文化の担い手も減り、過疎地域がどんどん増えている昨今。

こんな時代だからこそ、こういったワークショップを通じて歴史や文化の継承や暮らしのアーカイブを共有できれば楽しいのかなと。

エモさを楽しむ若い世代の、新しいエンターテインメントとしての立ち位置にならないかなと。帰りの車内でそんな風に考えました。

空き家の中に眠っているモノたち。

それらにもう一度目を向け、誰かが暮らした痕跡を辿る作業の中に、未来のヒントがあるのかもしれません。

処分するのではなく、向き合って、引き継いでいく。

そんな関わり方が、次の社会をつくっていくのかなと思ったりするわけです。

お声がけいただいた「みんなの集落研究所」のみなさま。

共に汗をかいたボランティアのみなさま、参加者のみなさま。

素敵な機会をありがとうございました!

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