6月12日は「恋人の日」
ブラジルでは恋人たちがプレゼントを贈り合う日として知られています。インテリアの世界でも「相手を思いやる」「相手に合わせる」といった感覚は大切。特に収納家具は、ひとりの価値観だけで選ぶとちぐはぐになりがちです。
たとえば、スチールラック（メタルラック）。便利で機能的だけど、どこか“事務感”がある。暮らしに馴染ませるには少し工夫が必要です。
今日はそんなスチールラックを、“塗らずに・壊さずに・気軽に”アレンジする方法を、テイスト別にご紹介します。
スチールラックってどんな家具？
まずは基本をおさらいしておきましょう。
- 組み立て式の金属製ラック（一般にシルバー）
- サイズ調整やパーツ追加が可能
- キッチンや物置、オフィスでの定番収納
- ホコリがたまりにくく掃除がしやすい
その実用性の高さから、賃貸暮らしや引越しの多い人にはとても重宝されます。ただし、無骨で無彩色な印象ゆえに、「生活感が出すぎる」「オシャレとは程遠い」と感じる方も多いのが実情です。
アレンジの基本方針：「構造はそのまま、印象だけ変える」
スチールラックの良さは“構造のシンプルさ”にあります。そのため、外側を変えずに印象を変えることが可能です。
ただし、今回のルールは以下の通りです。
- 色を塗らない
- 部材を切断・破壊しない
- 一般家庭で手に入る素材・道具のみ
この条件でどこまで空間になじませられるか、実践的に考えていきましょう。
テイスト別：スチールラックの取り入れ方
インダストリアル系：古材とアイアンで“倉庫感”を演出
相性が抜群なのは、やはりインダストリアル系。無機質なスチールに、あえて“荒さ”を加えることでバランスが生まれます。
- 棚板に古材を追加（天板に置くだけでOK）
- 無骨なワイヤーバスケットやブリキ缶を収納に活用
- ブラック系のファブリックボックスを合わせる
ポイントは、「綺麗に揃えすぎないこと」。むしろ、使い込まれた道具感をプラスしていくと、男前で重厚感のある雰囲気に変化します。
北欧ナチュラル系：布と木で柔らかさを加える
一見相反するように思える北欧テイストとも、実は相性は悪くありません。異素材のミックスを前提とした北欧スタイルでは、“金属の直線”が空間の引き締め役になります。
- 棚ごとにかごやファブリックボックスを統一
- 天板に木製プレートを乗せてナチュラル感を演出
- ラタンの収納ケースなどを組み合わせて柔らかさを加える
全体として色味はアースカラー・白・グレー系にまとめると、視覚的にもまとまりが生まれます。スチール部分を目立たせず、**「構造だけ活用する」**のがコツです。
アウトドアミックス：実用性を前面に出しつつ統一感を
キャンプ用品やアウトドアギアを収納したいとき、スチールラックはそのまま活かせます。ただし、雑多な印象にならない工夫が必要です。
- ミリタリー調の収納ケースや帆布バッグを導入
- ランタンやツールを“見せる収納”として吊るす
- 足元には木製のすのこやトレイを敷いて素材感をプラス
全体的に「見せるけど、まとめる」収納を意識することで、外遊び感＋整然さが同居したスタイルがつくれます。
和モダン・アジアンテイスト：色数を絞ってなじませる
スチールラックは和室にもアジア系インテリアにも使えます。ポイントは「馴染ませる」こと。素材の主張を抑え、空間の余白に徹するのが鉄則です。
- スチール部分に黒かグレーの布をかけて目隠しに
- 竹かごや麻の収納ケースを使って統一感を出す
- 背景の壁とのコントラストをなるべく減らす
たとえば押し入れ内の整理棚として活用すれば、スチール感はほとんど目立たず、収納力だけがしっかり働きます。外に出す場合でも、静かに溶け込む配色設計をすれば浮きません。
玄関収納・パントリーで活躍
店舗でスタッフと話していても、「家具は買い替えたいけど、スチールラックは残す」という人は少なくありません。理由はやはり“使い勝手”。
実際にキミドリでも、以下のような相談がよくあります。
- 玄関の靴収納にしたいけど見た目が気になる
- 食品ストック棚としてパントリーに使いたい
- クローゼット内の整理に便利だけど生活感が…
そうした声に対して、「見せずに使う」「見せるなら囲う」などのちょい足しテクニックを提案することも。無理に新しい家具に買い換えるのではなく、今あるものを整えるアプローチが求められている実感があります。
おしゃれ＝買い替えではない
スチールラックのような“業務用感のある家具”は、ついインテリアから遠ざけたくなります。でも、それはもったいない。
- 見せ方を変えるだけで印象は変わる
- 雑然とした印象は「色」と「素材」でコントロールできる
- 工夫次第でどんなテイストにも寄せられる
これこそ、暮らしに合わせて家具を調整するという視点です。買い足さず、塗らず、今ある形を活かす。それでいて、空間に調和する。
ちょっとしたひと工夫が、毎日の景色を変えてくれるかもしれません。
スチールラックに、暮らしを寄せてみる
家具を「空間に合わせる」のではなく、「空間を家具に合わせる」という発想も、ときには大切です。
スチールラックはクセがあるぶん、使いこなせば面白い。テイストを決めて、少しの工夫を足すだけで、ぐっと空間に馴染んでくれます。
- 古材を足してインダストリアルに
- ファブリックで北欧の柔らかさを
- 実用性を活かしたアウトドア収納
- 見せずに使う和モダンへの寄せ方
「ありあわせ」をうまく活かせる目線こそ、成熟したインテリアの第一歩かもしれません。
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