6月9日は「ロックの日」

6(ロ)と9(ック)の語呂合わせから「ロックの日」。音楽のジャンルを指すこともありますが、本来の意味は「固定する」「揺るがない」。
選び方や使い方に“自分の芯”がある暮らしって、少し憧れます。

今回のテーマは「コーヒーを飲むうつわ」。
毎日飲む人にとっては当たり前すぎる存在かもしれませんが、その選び方や使い方を改めて考えることで、生活の見え方がちょっと変わるかもしれません。


基本はマグカップ。それでも“正解”ではない

マグカップは日常の中でもっとも使用頻度の高いうつわです。

  • 容量:約300ml前後(カップより多め)
  • 厚みがあるため冷めにくく、持ち運びしやすい
  • 取っ手付きで片手操作に向いている

オフィス、自宅、キャンプ…あらゆるシーンに適応できる汎用性が魅力です。
ただし、コーヒーを「どう飲むか」によっては、マグが最適解とは限らないこともあります。


カップ&ソーサーの役割は“余白”

見た目がエレガントで、来客時にも重宝されるカップ&ソーサー。特徴は以下の通りです。

  • 浅めで口が広く、香りが立ちやすい
  • ソーサーによって一時的な置き場所が確保できる
  • 飲み物とともに“時間の区切り”を生み出す

容量は150〜180ml程度で、深煎りやアロマが強い豆の香りを楽しむのに向いています。
短い時間に集中して味わう人にぴったりのうつわです。


飲み方別:適したうつわの選び方

● カフェオレの場合

牛乳とコーヒーをたっぷり注ぐカフェオレは、口径が広くて容量の多い器が向いています。

  • ボウル型のカフェオレボウル(仏式)
  • 持ち手なしの大きめ碗タイプも可
  • 保温性より“冷めながらまろやかになる時間”が楽しめる

ラテアートとは異なり、「混ざっていく味わい」が主役なので、厚みのある磁器や陶器が適しています。


● エスプレッソの場合

極少量で抽出された濃厚な一杯。適切な器の条件は以下の通り:

  • 50〜90mlほどのデミタスカップ
  • 肉厚で、冷めにくい構造が好ましい
  • 香りと温度を同時に閉じ込める、縦長・小口径がベター

見た目の印象以上に“機能的な設計”が求められる器です。


● アイスコーヒーや浅煎りホット

酸味が際立ち、透明感のある味わいを持つこれらのコーヒーには、ガラス器や薄手磁器がよく合います。

  • 湯気と液色を楽しめる耐熱ガラス
  • カクテルグラスや脚付きグラスで「香りの立ち上がり」を演出
  • 薄く軽い磁器は、“味のニュアンス”をストレートに伝えてくれる

視覚と味覚を連動させるタイプのコーヒーでは、透明性と軽さが重要になります。


● 浅煎りハンドドリップ

浅煎り特有の複雑な風味と酸味を感じるなら、香りを逃しすぎない器が最適。

  • 口すぼまりの磁器カップ(香りが長く滞留)
  • 小さめの湯呑みも選択肢として有効
  • 手に収まりやすく、熱伝導の緩やかな素材がベター

いわば**“静かに向き合う時間”のためのうつわ**です。


あえて「専用でない器」を使うという発想

コーヒー=カップではなくてもいい。
こう考えると、うつわの選択肢は一気に広がります。

● 湯呑み

  • 保温性、香りの保ちに優れた構造
  • ザラついた陶器の質感がコーヒーの苦みと相性◎
  • 飲み口が厚いものは、深煎り向き

● そば猪口

  • 容量・形状・使い勝手すべてバランスが良い
  • 軽く、食器としての“用途拡張性”も高い
  • 和テイストのコーヒーブレイクにフィット

● 飯碗(茶碗)

  • 両手で包み込む持ち方が、飲む行為を“所作”にする
  • 木のトレー、羊羹や和菓子と相性が良い
  • 高台の高さや重心バランスで印象が大きく変わる

うつわを選ぶときに考えるべきこと

コーヒーのうつわ選びにおいては、以下の観点が有効です:

  • 温度管理:厚みと保温性、冷め方のスピード
  • 香りの拡散:口の広さ、素材の吸着特性
  • 味の感じ方:飲み口の厚さや角度
  • シーンとの親和性:テーブルの高さ、照明との相性、トレーやお菓子との組み合わせ

味を決めるのは豆と湯だけではなく、“どう届けるか”を決めるのがうつわ
そこにこだわることは、結果的に暮らしの質そのものに直結します。


キミドリにもうつわがたくさん

キミドリでは、家具だけでなく時折入荷するうつわ類にも注目が集まります。
とくに「マグとして作られたわけではないけれど、結果としてコーヒーにぴったり」という器があると、お客様の反応が面白い。

  • そば猪口を3つ並べて、テイスティング用に使いたい
  • 湯呑みだけど取っ手がついてる珍しい形を、来客用に使いたい

そんなふうに、発想を広げる使い方を実際にされている方が多いのが印象的です。


自分の一杯に、正解はない

どんなコーヒーを、どんな時間に、どんな気持ちで飲むか。
それによって、最適なうつわは変わります。

専用の道具も良い。だけど、専用でなくても良い。
その柔軟さの中に、暮らしの面白さがあります。

今日の一杯、いつものマグで飲むか。
それとも、ちょっと違う器を試してみるか。

どちらにしても、それは自分だけの「正解」に近づく時間かもしれません。

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