NEWMCKINLEY×○○│勝手にプロデュース(仮)

6月23日は「オリンピックデー」。

かつての“国家の威信”や“限界突破”という文脈から、近年は「多様性と共生」を掲げる祭典へと変わりつつあるオリンピック。
そんな日にふさわしいテーマとして今回は、異なるジャンルの要素を重ねて“新たな美”を生む記事をお届けします。

題して、「勝手にプロデュース（仮）」。

第1回は、飛騨産業の名作椅子《NEWMCKINLEY》に“合う音楽”を、チルめな音源から5つセレクト。
家具と音楽。まったく違う分野のようでいて、実はどちらも「構造」と「余白」で魅せるもの。

今回はその親和性にフォーカスしながら、勝手に深掘りしてみました。

NEWMCKINLEY という椅子

NEWMCKINLEY（ニューマッキンリー）は、飛騨産業の中でもとくに構造的な“美”が際立つモデルです。
特徴的なのは、背面にあるV字のブレイシングスティックと、座枠を接合するダブテイル構造（蟻組み）。
どちらも視覚的なアクセントでありながら、構造そのものを成す重要なパーツです。

素材にはウォールナットが使われており、華奢で繊細なパーツを組み合わせることで生まれる静けさと緊張感が、この椅子の醍醐味。
見る角度によって表情が変わる、まさに“音楽的”とも言える一脚です。

NEWMCKINLEY×○○①

Sufjan Stevens – Futile Devices (Doveman Remix)

NEWMCKINLEYに最も親和性の高い楽曲がこの1曲。

ピアノの柔らかい打鍵音、微細なストリングス、そしてレイヤー感あるアレンジ。
それらが、ウォールナットの木肌や、華奢なパーツの静かな力強さと不思議と呼応します。

この楽曲の音像は、まるで椅子の「背」にスッと乗るような印象を与える。
ふと、NEWMCKINLEYに腰かけ、窓からの光を浴びながら静かに流していたくなるような──そんな時間が立ち上がってくる曲です。

アートワークも“家具っぽい”。この椅子の持つ静謐な佇まいと驚くほどマッチします。

NEWMCKINLEY×○○②

Shing02 – Luv(sic) Part 3

NEWMCKINLEYの背面に配されたV字のブレイシング。
この力を分散させる構造美は、Shing02のラップとNujabesのビートの関係性とよく似ています。

構造的にはしっかり支えていながら、表層には柔らかいリズムと語りかけるような言葉。
そんなLuv(sic) Part 3のバランスは、この椅子の設計思想にかなり近い。

音楽の間（ま）と家具の余白。
どちらも「空白を恐れない」からこそ成立する世界観です。

NEWMCKINLEY×○○③

Cecile Corbel – Arrietty’s Song

少し意外な選曲に思えるかもしれませんが、このハープ中心の優しい民謡調のサウンドは、NEWMCKINLEYの木工的な美しさと深く共鳴します。

ジブリ作品『借りぐらしのアリエッティ』の主題歌でもあり、ミニマルな構造物と“繊細な生活感”というテーマにも通じる。

この椅子の小さなパーツが大きな安心感を支えている構造は、ハープの1音1音が丁寧に積み重ねられてできたこの曲と似ている気がします。

NEWMCKINLEY×○○④

Yosi Horikawa – Bubbles

こちらはフィールドレコーディング系の実験音楽。
水滴が跳ねる音を多層的に構成していく様子は、まさに職人の手仕事に近い感覚です。

NEWMCKINLEYは、一見シンプルな見た目でありながら、細かな技術の蓄積と制御の集合体です。
その意味で、Bubblesのように“物理的な音を設計的に構築していく”音楽とは極めて相性が良い。

耳で感じるクラフト感。NEWMCKINLEYの“見えない美”を引き立ててくれます。

NEWMCKINLEY×○○⑤

toe – Goodbye

NEWMCKINLEYの“構造美”を語るならば、このポストロックバンドの楽曲は外せません。

toeの楽曲には、見事に整理されたポリリズムと、やさしくも力強い音の波があります。
とくにこの「Goodbye」は、家具のように“ずっとそこにある存在”としての音楽。

華奢なパーツを組み合わせ、しなやかさのなかに強度を持たせる。
NEWMCKINLEYの作り手の意図と、toeの演奏スタイルは、非常に近いものを感じます。

家具×BGM

家具を選ぶとき、私たちは「サイズ」「素材」「色」「価格」などの条件で判断しがちです。
けれどその家具が、どんな空間でどんな音楽と共に在るかを想像してみると、選び方がガラリと変わってくるかもしれません。

NEWMCKINLEYという椅子は、設計・構造・素材、すべてが美しく整理されているからこそ、音楽のように人の心を動かす力を持っています。

ぜひあなたも、自分の家具に合う音楽を探してみてください。
家具と音楽。異なるジャンルをまたいでみると、新しい「暮らしのプロデュース」が始まります。

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