6月8日は「世界海洋デー」

国連によって制定されたこの日は、海の環境保護や持続可能な利用を考える国際的な記念日です。
はるか昔から人の営みと共にあった海。その流れに思いを馳せると、自然と“生活の積み重ね”が作る文化や道具”にも目が向いてきます。

今回はそんな視点から、日本における「椅子の歴史」を辿ってみようと思います。

「日本人は昔、椅子を使っていなかった」とよく言われますが、実際にはどうだったのか。
そして、現代の生活スタイルの中で、椅子はどういう位置づけになっているのか。
過去と今をつなぐ目線で、暮らしに根ざした“椅子の文化”を掘り下げてみましょう。


日本に「椅子」が現れる前の暮らし

● 正座・あぐら・胡坐文化

古くから日本の住まいは、床に直接座る文化が基本。
畳や板の間に座ることで、身体と住空間が一体となる暮らし方が根付いていました。

  • 武士は正座
  • 商人は胡坐
  • 庶民はちゃぶ台にあぐら

いわゆる“座の文化”が長らく支配的であり、家具の基本も「床座」に合わせた高さ設定が主流でした。


椅子の原型が登場するのは仏教伝来とともに

椅子という形そのものが日本に伝わったのは、飛鳥〜奈良時代ごろ。
仏教とともに伝来した高僧や貴族の“腰掛け”がその始まりです。

  • 胡床(こしょう):中国から伝わった折り畳み式の椅子
  • 高座(こうざ):仏像や僧侶が座るための特別な座席

どちらも「日常的に使う家具」ではなく、儀式・権威・特権の象徴でした。


江戸時代には“一部の人だけ”が椅子を使用

江戸時代になると、南蛮文化の影響で西洋家具が少しずつ日本に入ってきます。

  • 宣教師や使節団が持ち込んだ椅子は、権力者や知識人の関心を集めた
  • 大名の謁見や来客の際など、限られた場面だけで使用

つまり、江戸時代の日本にとって椅子はまだ「特別な家具」であり、
一般庶民にとっては無縁の存在でした。


明治〜大正時代:椅子文化のはじまり

明治維新以降、欧化政策が進む中で、ようやく“椅子に座る”という行為が広がり始めます。

  • 官公庁や学校などの公共施設に椅子が導入
  • 家具メーカーが洋家具の生産を本格化
  • しかし、一般家庭ではまだ“和洋折衷”が基本(畳+椅子)

この頃は、椅子とちゃぶ台・畳の共存が試みられた過渡期。
「椅子を使うのがカッコいい」という感覚が育ち始めた時代でもあります。


昭和の高度経済成長期:椅子が「生活の標準」に

昭和30〜40年代、団地や洋室の普及とともに、椅子とテーブルのある生活が加速度的に広がります。

  • ダイニングセットの普及(食卓=椅子の時代へ)
  • 学習机と椅子のセットが家庭に当たり前に
  • テレビ視聴も座椅子→ソファへと変化

この時代から、椅子はようやく日本人の暮らしの中に“標準装備”として定着していきました。


現代の椅子文化:多様性と“戻り”

現代の日本では、椅子のバリエーションがかつてないほど広がっています。

  • リビングにはソファ、ダイニングにはチェア、デスクにはオフィスチェア
  • 床に座るスタイル向けには“座椅子”や“ローソファ”も充実
  • スツール、バランスチェア、ワークチェア、ゲーミングチェア…

また、「あえて床に座る」「ちゃぶ台に戻る」など、原点回帰的なスタイルも見直されているのが興味深いところ。

つまり、いまの椅子文化は「多様性」と「選択の自由」に満ちているのです。


日本人が椅子とどう付き合ってきたか

ここまでの流れをざっくり振り返ると──

  1. 仏教伝来で“神聖な椅子”が登場
  2. 江戸期に「異国の道具」としての椅子がやってくる
  3. 明治以降は「文明の象徴」としての椅子
  4. 昭和で「生活道具」としての椅子が定着
  5. 現代では「スタイルや機能で選ぶ道具」へと進化

日本人にとって椅子は、単なる家具以上に、時代を映す生活の象徴だったとも言えるでしょう。


椅子は“文化を手に入れる”アイテム

キミドリでは、リユースの椅子を選びに来るお客様に「どんな生活をしたいか」をよく尋ねます。
それは、椅子そのもののデザインや機能以上に、その人の“暮らし方”にマッチする椅子があるからです。

現代の椅子は、リラックスするため、食べるため、働くため、考えるために存在します。
「日本人がどんな椅子を使っているか」は、「今どんな暮らし方をしているか」の答えでもあります。


椅子の変遷は、生活の変化そのもの

日本における椅子の歴史は、異文化の影響・社会の変化・生活様式の変遷がそのまま表れたもの。
だからこそ、椅子を選ぶことは、“暮らし方そのものを選ぶ”行為なのかもしれません。

畳にちゃぶ台もいい。テーブルとチェアもいい。座椅子で過ごすのもいい。

それぞれの椅子の形に、それぞれの生活の形が重なって、今があります。

そしてこれからも、椅子は静かに、日本の暮らしを支え続けてくれるでしょう。

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